少年期にお会いした先生達


 流浪篇へ移項する前に私がお会いした漫画家の先生方について少し記しておこうと思う。
何故かというと、流浪篇でお会いすることになる数々の先生方は仕事でのおつきあいがほとんどであるからだ。
 差異はやっぱり存在する。それは、こちらサイドの問題であるかもしれないし、ファンとアシスタントという立場の違いに対する先生方の意識の持ち方に由縁するのかもしれない。たぶん両方だろう。
 憧れのスターの付き人になってみたら…なんてのに類似したことかもしれない。
これからアシスタントになろうなんていう若者諸君は、この立場の違いと世の中のからくりと、そして演じることを学んで欲しい。
 我慢だの忍耐だの修行だの、そんな自己欺瞞的なことではない。
ものごとの流れを円滑に進めるためには、各々の立場を演じきることが必要なのだ。
 逆に、そういう意識をもっていなければ、無意味に必要以上のストレスと失望、自信喪失を背負わなければならなくなるからだ。
 そんなことで自己壊滅してみても始まらないだろう。生きると決めた世界で生き抜く為には、いちいち無駄な軋轢や疑心暗鬼の虜になっている暇はないのだから。

松本零士先生とお会いする

 以前にも記したが、私は松本零士先生の大ファンであった。
松本先生は、少女漫画(動物ものが多かった)や「おいどん」の様なギャグセンス溢れる作品もお描きになるが、やっぱりSF漫画である。
 「スーパー99」(サブマリン物なんだけど)や「光速エスパー」(あさのりじ先生が最初はお描きになっていた記憶が)なんかは子供のころ夢中で床屋さんで読んだな〜(^-^) 

 私がお会いいただいた頃は、COM でSF物を中心に連載されていた。
そして「漫画娯楽」に連載されていた「セクサロイド」!
 好きだったな〜(^-^) 子供だった私だけど勇気をふりしぼって総集編を買いに本屋へ走ったっけ。
まあ、ちょっとHなシーンもあったのでね(^_^;)
 COMにお描きになっていたものに「男おいどん」の原形みたいな作品もあった。
時期は前後しそうだが、少年マガジンに何人かの漫画家で連作した「サキ」のシリーズで「スレドニヴァシュタール(だっけ?」もお描きになっていて良かったです〜。
 そういえば忍者物も描いておられた。

 まあそんなこんなで、是非お会いしたいと常々思っていて、確か段取りとしては「漫画大会」の委員の一人だった江口さんという、やたら漫画家先生達と交際を持っている人がいて、その方から松本先生の電話番号を聞きだして、その旨をお伝えしたのだと思う。
 同時進行でファンレターもお送りしていた。
しかし、江口さんの話では松本先生は、なかなか会って下さる人ではないということだった。

 昔の話なので経緯は前後左右するが、鈴木光明先生との会話の中で「ナギサくんは漫画家では誰が好きなの?」と質問を受け、好きな漫画家の一人に松本先生をあげた際に、鈴木先生と松本先生は旧知の中であると聞かされた記憶があった。
 鈴木先生が会長をされていた「ぶる〜ばーど」という同人誌に松本先生も参加されていたというのだ。
その辺りの話も決め手になって、ついに松本先生とお会いできることになった。

 松本零士先生宅は私が住む横浜(それも僻地)からは、とんでもなく遠い大泉学園(だったと思う)という駅…しかも私の記憶の中では、すごく歩いたという覚えがある。

 同行したのは、当時大学生だった和田慎二先生と同人誌のメンバーが他に2人だったと思う。
「虎縞のミーメちゃん(違ったかな?)」の出迎えを受けて、お手伝いさん(アシさんではなかったが、家族の人だったらどーしよう)に案内され応接間へと通される。

 松本零士先生登場。
印象は、やっぱり普通のおじさんだったな〜。それと、もの静かな方かなと想像していたのだが、かなり気さくに色々とお話をして下さった。
 あ、私って、どんなに尊敬している方とお会いしても何故か動揺しないんです。そういう展開を期待していた方すみません。たぶん広末と会っても動揺しないと思う。

 最近(でもないか)雑誌やTVで拝見する零士先生は海賊マークの付いた網の帽子をかぶられ、髭も伸ばしておられるが、その当時は髪も短くて髭も伸ばしておられなかったと思う。
 セクサロイドや同人誌制作等、いろいろなお話をして下さった中で印象に残っているのは「特殊原稿作成に関して」なので、少しそのことを記しておこう。

 主人公の画像の上に、パチンコ玉等をパチンコ(これはYの先にゴムが付いているやつね)で撃ってガラス板に穴を空けたものを2段のトレス台等に配置し(少し距離を空けると遠近感が出て良い)カメラで撮影し、それを原稿に使うなどということをされていたらしい。
 つまり、レイヤーである。
(説明の必要もないと思うが、穴とは銃弾が通過した例の痕ね。つまり主人公に向かって窓越しに狙撃がなされた、というシーンです)
 私は、そういったことに何故か興味をもってしまった。今Macを使って絵を描いている自分の原点が松本零士先生宅の応接間にある様な気がしてならない。

 私は業界の事情通ではないので、現在松本先生がどの様なお仕事をされているのか知らない。
でも、きっとMacをお使いになって特殊画面を創作されているに違いないと確信している。
 

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