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この章、1話完結でいくつか「来ない」エピソードを紹介しますね♪ 色々おつき合い関係もありますので(; ̄ω ̄A、前回に引き続き大人の事情のある微妙なネタは「コアラ先生の仕事場で起きた出来事」として、紹介しますね。なんせなにかあると、ブタ丸一家、ごはんが食べられなくなっちゃいますから(笑) ![]() 「漫画家」につきものの「アシスタント」さんのエピソードを紹介してきましたが、「頼りにならないアシスタント」の章、トリはやっぱりこれでしょう(笑) 前にも書きましたが、とにかくものすごーく、そりゃーもう、絶体絶命なぐらい忙しいからこそ来ていただくアシスタントさんです。ですから、たとえそれが「倒れるアシスタント」「言い張るアシスタント」、その他にも今回はご紹介しませんでしたが「牛耳るアシスタント」や「ファンすぎるアシスタント」「上達しないアシスタント」であっても、とりあえず仕事をしてくれればそれなりに助かるわけなのですが……。 来てくれない場合は、もうどーにもなりません 3.困ったアシスタントベスト3 ―― No.3来ない…… ―― <その1「なぜ来ない?!」> 皆さんも雑誌などで「アシスタント募集」の記事をよく見かけてご存知とは思いますが、漫画家さん達はたいがいアシスタント不足に悩んでいます。やってみたいという方はそこそこおりますが、覚悟がなくて続かない方が多いのです。 また逆にやる気があって上手な方は、良いアシスタントになってはくれますが、すぐデビューして辞めてしまう(笑)。ですからどうしても慢性的なアシスタント不足になるのは構造的にしかたがありません。 腕のいいプロのアシスタントさんは貴重な人材。大作家さんなどは財力にまかせ、アメと特典で上手なアシスタントさんを「ふぬけ」にして足抜けできない体にして抱え込んだりもしています。 そんなお抱えアシスタントさんが放出されて廻ってきてくれることはまずありませんから、良いアシスタントを長く使いたければ、もう見込みのある漫画家志望の方を、1から「育てる」しかありません。 もう10年ほど以前の話になります。トン太先生もアシスタント不足に悩んでいたので、知り合いの方に見込みのありそうな新人さんを紹介していただき、1から育てることに決めました。ところが……。 ━━ 某年5月 ━━ 「へ〜え、そんなに見込みありそうなの、その子?」 「ウン! 絵やストーリーのセンスがすごくいいんだ♪ プロ向きなメジャー志向だしー♪ 電話で話した感じも素直そうでいい感じなんだー」 「そりゃ期待できるね! 腕のいいアシスタントになってくれそうだね!」 いつになくはしゃぎ気味のブタ丸父ちゃんに、母ちゃんも嬉しそうです。 「早速今回仕上げの時に来てもらうから、ディナーは豪華にいくよ〜母ちゃん♪」 「豪華ディナ〜!? ア、アタシャ…ぶ太郎寿司の特上トロ握りが食べたいな〜 「OK〜♪ まっかせなさい!」 「 え? ホント! いいの〜♪ブフフフフフ
「OK〜♪ まかせてね〜♪ 食事で釣るのが基本だからね! 腕を奮うよー! ぶ勢丹で高級肉仕入れてくるよ!」 机にかじりつき缶詰め状態の仕事ですから、楽しみは食事だけ。 美味しい食事を提供するのが、アシスタントさんを定着させるための第一条件なのは、自らのアシスタント経験でよく分かっているブタ丸母ちゃん。すっかりやる気になっています。 ――自分が食べたいからじゃあありませんから! 「奥さんホントにお料理お上手ですね! いや〜〜美味しかったです! ごちそうさまでした!」 若いせいか遠慮せずきれいに食事を平らげた新人のウサ吉君ですが、なかなか人当たりもよく、リップサービスは忘れません。父ちゃんの修行時代の苦労話等にもちゃんと耳を傾け、なかなか良い感じです。 「じゃあ仕事再開するよ! ウサ吉君、さっきのページのベタは終わった?」 「え? あ、後少しです!」 (……あれ? 原稿渡してからずいぶん経ってるのにまだ終わってないの? やけに遅いね〜) ちょっと不審に思ったブタ丸母ちゃんでしたが、まあ初めてのアシスタント経験、緊張して手が動かなかったのかも……とすぐ思い直し、自分の作業に戻りました。 もう一人のアシスタントのカメ秀君も居りますし、ウサ吉君が少々仕事が遅くても支障は出ません。 (まあ、次回はリラックスしてもうちょっと役立ってくれるでしょ! さー仕事仕事♪) 「お疲れさま! ウサ吉君少しは慣れたかな〜♪ じゃあ来月からはフルで仕事場に来てもらうからね! 最初は練習いっぱいしてもらうから、がんばってね♪」 「はい! ヨロシクお願いします!」 無事原稿も締め切り日にupし、ウサ吉君、元気に帰って行きました。 なかなかの好青年ぶりに、父ちゃんすっかりウサ吉君が気に入ったようです。 ――翌月、駅までウサ吉君を車で迎えに行った父ちゃん、なぜか一人で戻ってきました。 「お帰り〜。あれ、ウサ吉君は?」 BRRRRRRRR… 見慣れないスクーターが庭へ入ってきました。 「あ、奥さん今日は!」 「ありゃ、ウサ吉君バイクなの?」 「母ちゃん、このスクーターさウサ吉君の通勤用に買ってあげたんだ。中古だけどさ♪」 「ありがとうございます! 先生!」 「へ? 買ってあげたんだ……」 「ウン! これがあればさ、オレが送り迎えしなくてもいいし、電車の時間も気にしなくて良いしさ♪」 「あ、そ、そうだね……」 (こりゃまた、大盤振る舞いだね……) でもまあ確かに通勤の“足”は必要です。 (まあ設備投資……支度金だとおもえばいいか。丸々経費で落とせそうだしねぇ……) 母ちゃんちょびっとホホが引きつりましたが、嬉しそうなウサ吉君と父ちゃんには、なにも言いませんでした。 仕事が始まり、ウサ吉君には例の、ペン慣れのための線引きをまずやってもらいます。 仕事中にお金を払ってあげて勉強をさせてあげるのも、いずれ戦力になってもらうための設備投資。忙しいときに時間を割いて指導するのは大変ですが、色々期待していた父ちゃん、嬉しそうにあれこれ細やかに指示を出します。 「先生、できました〜! けっこう大変ですね〜」 「ん、じゃ見せてみて。……線がまだ途切れてるし、間隔がばらばらだねー。定規でこすってるトコが多すぎるよ。じゃ、キレイになるまで何枚も描いてね♪」 「え? まだやるんですか?」 「そりゃそうだよ。これできなきゃ背景なんて絶対無理だし」 「………はい」 「アハハ、たった1枚で音をげないでよ〜、基礎中の基礎なんだからさ〜。じゃあがんばってね♪」 「………」 ウサ吉君、無言で新しい原稿用紙を受け取ります。 前回の愛想のよい態度とは、だいぶ様子が変わっています。 (ありゃ、なんか怪しげなリアクション……まさかもう飽きてる? ブフフフ、いくらなんでもそりゃないか。まだ1枚やらせただけだし……) 今回も食事は豪華版♪ ヒレステーキにうな丼、すき焼き。 カメ秀君も大喜びです。 ――しかしこの豪華な食事が仇だったのでしょうか? 「ファァァァァ……」 一生懸命仕事を進めるカメ秀君、母ちゃんを尻目に、ウサ吉君大あくび。 手もすっかり止まって、テレビに目は釘付け。 「ウサ吉君! 手、動かす!」 「はい!」 返事だけは相変わらずはきはき愛想はいいのですが……。 「あははは♪」 「ウサ吉君、テレビはいいから、続きをやって!」 普段温厚な父ちゃんが、思わず声をかけてしまうほど、だらけまくりのウサ吉君。 まじめなカメ秀君、ムッとして、顔も上げません。 「……ウサ吉君、できた分だけでも見せてみて!」 「はーい」 「……ウサ吉君……まじめに描いてるの?」 渡された原稿用紙はひどいものでした。 最初の1枚の方がまだましです。 描けば描くほどすぐ上達するほどの、簡単な基礎練習なのに、後から画いた分は完全に集中力をなくした汚い不揃いな線ばかり。 「ウサ吉君……ひどいよ、これ」 「え? そうですかぁ?」 「仕事の練習なんだから、まじめにやってくれないかな!」 珍しく、とうとう父ちゃん、声を荒げます。 「はーい」 明らかに不貞腐れた声で原稿用紙をまた手に取るウサ吉君。 少々気まずく、その日の仕事は終わり、ウサ吉君はスクーターで帰って行きました。 「じゃあ、3時頃には仕事始めるから。それまでに来てね!」 「はーい」 ――けれど………。 夕方になっても、ウサ吉君は現われません。 「……ま、まさかあんなことで?」 「で、でもそうじゃないなら……」 なぜ来ない?! 慌てて電話する父ちゃん。 そのまさかでした。 たった1回、叱られただけで……… ウサ吉君、ケツまくりました。 とりあえず、説得してまた仕事場に呼び寄せ、その後少しの間通ってもらいましたが、モロモロの事情で結局辞めてもらう事になりました。 ウサ吉君に関しては、短期間のつき合いでしたが、まだまだエピソードが色々あります。そのうち折りに触れてご紹介しますねー(笑)♪ しかしホントに、よいアシスタントさんを確保するのは大変です……。 詳しい経過は父ちゃんのblogの記事を読んでね♪ →「帯ひろ志の漫画放浪記」 「父〜ちゃん♪」 「は、はい……」 「バイクまで買っちゃってさー♪ずーいぶん高くついたね、今回♪ ぜーんぶムダ金だよ 「ご、ご、ごめんなさ〜い! た、食べないで〜」
「さーて、ど〜しよーかなぁ………バイクはあげちゃったし、食い逃げされちゃったし……代わりに……」 「ヒィーーーーーーー!!!」 父ちゃんのせいではまったくないけれど、お仕置きされるのはいっつもかわいそうな父ちゃんの役回り。 母ちゃんの怒りはいつおさまる? ――どうなる!ブタ丸父ちゃん(笑) ≪今回の教訓≫ 投資する前にじっくり観察 ―― つづく ―― 「困ったアシスタントベスト3」 「やっぱり来ない」です♪ お楽しみに! |