「ブタ丸トントン・ジュニア版」8ページ
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 「さあ、10チームになったので、さっさとトーナメントをはじめましょう。
 まずトーナメント表を発表します」

 司会者はゴリラ達の方へは一瞥(いちべつ)もせず、
 淡々と表を読み上げはじめた。
 ぞっとするほどの冷淡(れいたん)さだ。
 命というものになんの価値も感じていない様子だった。

 「ひでーぞっ! こらーっ」
 まったくだ。血も涙もモラルもない。
 「どうせぶっ飛ばすなら、サルチームにしやがれっ」
 「バカゴリラなんか消えてもいみねーじゃんよー!!」
 「多数決とれよーっ! ちゃんと!」
 ーーーそこかい、ひっかかってるのは! 
 まったく、どいつもこいつもろくなモンじゃありゃしない…。

 「うるさいザコどもだ」
 サルチームのリーダーサル丸は、
 腕組みをしながらハナで笑った。
画像  「消える順番が少しかわるだけだろう」
 金色の体毛に鋭い眼光(がんこう)
 黒いスウェットのハーフパンツをはいた尻には、
 エジモンのように長い尾は生えていない。
 つまり同じ真猿亜目(しんえんあもく)に属(ぞく)する
 霊長類(れいちょうるい)でも、
 サル丸はエジモンよりはるかに高度な知能をもつ
 類人猿(るいじんえん)なのだ。
 学校のテストではいつも90点以上とっている。

 正式に言うと、
   動物界・脊椎(せきつい)動物門・
   哺乳綱(ほにゅうもう)・サル目(もく)
   霊長目(れいちょうもく)・真猿亜目(しんえんあもく)
   狭鼻下目(きょうびか)・ヒト上科(じょうか)
   ヒト科・バトサル亜科(あか)・Chinco chinco
   和名キンイロテイオウザルの
 サル丸である。

 ちなみにゴリラチームたち
 ニシローランドゴリラの分類は、
   動物界・脊椎(せきつい)動物門・
   哺乳綱(ほにゅうもう)・サル目・
   真猿亜目(しんえんあもく)・狭鼻下目(きょうびかもく)
   ヒト上科・ヒト科・チンパンジー亜科・
   Gorilla gorilla gorilla(ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ=学名Gorilla gorilla gorilla)
 となる。
 まえにテレビ番組の「トリビア」でもやってたね。
 テストにはでないが、
 何かの時に智識をひけらかせば(かしこ)そうにみえるから、
 ぜひ覚えておこう。
 日本の動物園にいるのは、ほとんどこのニシローランドゴリラだよ。

 エジモンの分類は……役にたたないので、書くのはやめておこう。

 サル丸は色々なバトル大会で優勝している、
 高い知性と戦闘力(せんとうりょく)をかね備えた最強のサルだ。
 人(猿)望があり、優秀な子分をたくさん従えている。
 サルチームこそ本大会の優勝候補(ゆうしょうこうほ)といえるだろう。

 司会者の冷ややかな声がマイクから響き渡る。
 「Aブロック第1試合はスーパーギャラクティカチーム対デンジャラスチーム。
 第2試合ブタチーム対Busu(ブス)チーム。
 第3試合カバチーム対トリチームです。
 Bブロック第1試合犬チーム対きもチーム。
 第2試合ウ○コチーム対サルチームとなります。
 対戦方式は先に3勝したチームの勝ちとなるポイント制とします」

 「最初の相手はBusuチームか。楽勝だぜ!」
 Busuチームは、チームワークに定評のある
 デカ顔族のグループだ。
 ブタマンに手足が付いただけのような、まぬけな姿をしてはいるが、
 重量をいかした集団押しつぶし、いがいとスピードのあるバウンド攻撃など、
 強力な技をもっている。
 チームバトルは得意だが、
 個々の戦闘力はやや低めなので、
 一対一のバトルとなるとブタ丸たちがわずかに有利かもしれない。

 「それではさっそくトーナメントを始めてもらいます。
 まずAブロック第1試合、
 スーパーギャラクティカチームV・Sデンジャラスチームですが、
 デンジャラスチームはまだ会場に来ていないので
 スーパーギャラクテイカチームの不戦勝とします」

 「あ、デンジャラスチームって今朝ボクたちとはり合って
 大食いしてた人たちだね」
 「フッ、腹でもこわしたか。ザコい奴らだ」
 ブタ丸はなんども大食いバトル大会で
 優勝している大食いキングだ。
 馬場(ババ)ールなどの
 大食い仲間たちといっしょに大会に参加すると、
 後にはごはん粒ひとつ落ちてはいない。
 まさにゴキブリ泣かせの意地汚(いぢきたな)さである。
 あまり自慢(じまん)にはならないが……。

 「まあ、消える順番がすこしかわっただけだ」
 ブタ丸は腕組みをし、
 ブヒッとハナで笑った。
 サル丸を意識しているらしいが、
 ハナの穴がデカイので含(ふく)み笑いにはなりようもなかった。

 「続いて第2試合、
 ブタチーム対Busu(ブス)チームの試合を行います。
 参加選手はAブロック闘技場(とうぎじょう)へ集まって下さい」

 ブタ丸たちは闘技場下の選手席に集まり、作戦会議をはじめた。
 「まず、だれを出す?」
 「よしまずオバーQを出そうぜ」
 「そうだな、オバーQまかせたぞ!」
 「オバ〜〜!」
 ……簡単な会議である。

 闘技場中央の開始線(かいしせん)へと
 Busu・AとオバーQが歩み出す。

 「それでは試合開始!!」

 キュルキュルと車輪を軋ませ
 開始線のところに来たオバーQの姿を見たとたん、
 Busu・A選手のまんじゅうの生地(きじ)のように
 白い顔が青ざめた。
 大きなピンクの唇(くちびる)がポカンと半開(はんびら)きになり、
 よだれが垂(た)れる。

 「な、なんだこいつは? なんかすっげーキモっ!」

画像  オバーQは不気味な土気色(つちけいろ)
 シワくちゃな顔をゆがめ、
 紫色の唇を引きつらせニマッと笑った。
 Busu・A選手の全身が
 鳥肌(とりはだ)立った。
  「こ、怖くなんかないぞ!
 お前なんか5秒で倒してやるぜ」

 「フフ……バカが! オバーQの恐ろしさを知らないようだな。
 オバーQ! やっちまえ!!」
 「オバーーーッ!!」
 オバーQミサイル!

 オバーQの体のどこからか、ナビゲーションボイスがひびき、
 攻撃を宣言(せんげん)した。
 「あの声いったいどこから出てくるんだ……?」
 へんなところで感心しているブタ丸をよそに、
 オバーQの容赦(ようしゃ)ない攻撃がはじまった。

 カパッとオバーQの頭部が開くと、
 いつもの触手ではなくミサイルが飛び出してくる。
 なんか粘着質(ねんちゃくしつ)で糸をひく
 イヤな感じのミサイルだ。

 ドドドドドドドドッ

 オバーQは、バケツいっぱいの
 ナマコをぶちまけたような音とともに、

 大量のミサイルを、Busu・Aに浴(あ)びせかけた。
 「のぎゃああああっ!!」
 ミサイルは次々爆発しつつ、
 ヌタつく液体をあたりに飛び散らせる。
 Busu・Aは全身スライムのような
 粘液(ねんえき)まみれになって倒れ込み、
 ぴくりとも動かなくなった。
 いや、粘液にからみつかれ、動けないのかもしれない。

 「ひぃぃぃっ、なんかすっげーヤなやられ方だぁ〜〜〜」
 Busu・B、C、D、E選手達は抱き合って震(ふる)え上がった。




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