「ブタ丸トントン・ジュニア版」5ページ
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     2 ブタ丸サバイバル篇(へん)


 夜空にサーチライトをひらめかせ、
 オレンジ色のホバーが現れた。
 ものすごい土ぼこりを巻き上げながら、参加者達の頭上で停止し
 ホバリングをはじめる。
 汎用(はんよう)一人乗りホバーのようだが、
 装甲(そうこう)が強化され、
 妙に物々(ものもの)しさを漂(ただ)わせた機体だった。

 真っ赤なタキシードに身を包んだ派手(はで)な男が、
 気取った様子で操縦席(そうじゅうせき)から立ち上がった。
 男の姿をみたとたん、
 参加者達の間にどよめきがおきた。
 ゲラゲラうれしそうに笑い出す者もいる。

 なんのつもりか、
 男は巻きグソののったヘルメットをかぶっていたのだ。
 顔面は『ウ』と書かれたマスクで覆(おお)われている
 「出場者の皆さん今晩(こんばん)は! 私は司会者の…」
 「黙れっ!!」
 「沈めっ!!」
 「(ぬか)に沈めっっ!! このウ○コヤロウ!!」
ウンコ画像
 司会者はマイクの音量を最大にして、
 ヤジに対抗する。
 「ご静粛(せいしゅく)に!
  私のファッションに関するツッコミは
 一切受け付けません。
 これから大会の進行について説明をいたします。
 ちゃんと聞かないと
 ルールがわかりませんよ!

 しかし、やはり
 どうしようもない連中ばかりが
 集まってきているらしく、
 参加者達は、せっかく司会者が
 説明しているのに皆聞こうともせず、
 罵声(ばせい)を張り上げ騒ぎつづけた。

 待つということができないので、苛立(いらだ)っていたし、
 目上の者の演説(えんぜつ)は、
 ジャマをする習慣(しゅうかん)がついているのだ。
 まったく親のしつけがなってない。

 「へぇ〜〜、こいつウ○コヤロウって名前なのかー。変なのー」
 すっとぼけた奴も混じっている。
 「ちっが〜〜う!! 私の名前は…」
 「さっさとしろ〜〜、ウ○コヤロウ!」
 「ギャハハハハハッ! そーだそーだ!!
 てめーの名前なんざどーでもいいっ! 早くはじめやがれ!!」

 「うう…うう…それでは大会のルールは……って、
 どーせ説明したって聞いちゃいないし、
 こいつら理解するのーみそ無さ気だし。
    めんどくさいや、まあ……そこらへんで戦って下さい」

 タキシードの男は完全にやる気をなくしているようだ。
 「おい! それじゃわかんねーよっ!!」
 「んだぁ〜〜、こるぁあ!! ちゃんと説めーせいっ!!」

 殺気立つ参加者達の足もとを、
 いきなりホバーに装備されたレーザー砲が焼く。
 さすがにたまらず皆後ろに下がった。

 「とにかくおのおの自力で、この島のどこかにある
 先のステージに進むための大扉(おおとびら)を探しだし、
 時間までに扉の下に集まって下さい。
 しかし第2ステージに進出できるのは10チームだけです。
 これが事実上第1ステージの
    バトル・ロワイアルとなります。それでは」

 男はそう言い捨てると、罵声(ばせい)の飛び交(か)うなか、
 サッとホバーをひるがえし上空へ逃げだしてしまった。

 残された出場者達は、腹立ちまぎれにさっそくあちこちで乱闘(らんとう)をはじめた。
 あまり利口(りこう)な問題解決法ではないが、
 困ったときにはとりあえず暴(あば)れるのが彼等の習性なのだ。

 ブタ丸は戦いには参加せず空を見上げ、
 司会者のホバーの飛び去る方向をみさだめていた。
 扉(とびら)を見つけもしないうちに、
 こんなところでつぶし合うのはまっぴらだった。
 お勉強方面ではまったく働かない『ブタ丸脳』だが、
 こんなときだけは、抜け目なく活発に活動を開始するのだ。

 「おいみんな、行くぞ」
 「行くってドコ行くのさー」
 「とりあえずホバーを追う」

 ブタ丸は仲間に声をかけ、
 さっさと乱闘場(らんとうじょう)と化した荒れ地を抜け出し、歩きはじめた。
 しかしすかさず、集団から離れていくブタ丸達に目ざとく気付き、
 殺気立った気の荒いグループが追いかけてきた。

 「おい、てめーら! 抜けがけはさせねーぞ!」
 グループの中の、ひと際(きわ)巨大な象男が
 大声でどなりつける。

 「ん? あ、お前馬場(ババ) ール!!
 「げっ、ブ、ブタ丸?!」
馬場ール画像  「てめぇ〜! 抜けがけしたのはお前だろうがっ!
   友達をさしおいて別の奴らと組みやがって、
   よくもうらぎったな!」
 「だ、だって、お前と組んで
   ロクな目にあったことねーんだもん!
     すぐズルして何でもひとりじめするしっ!!」

 いきなり話題が妙な方向にころがった。
 日ごろの行いが悪いと、
 いざというときこういうことになるのだ。
 ……何だと?
 『ひとりじめ』という言葉に反応して、
 ホラーキューピーの背後にゆらりと妖気(ようき)が立ち昇(のぼ)る。
 やはり、かなりマジで賞金をアテにしているようだ。

 「こないだの大食いチームバトルで優勝した時なんか、
    結局オレ牧草(ぼくそう)一年分しかもらってねーし!!」
 「主食だろ? 象の! いーじゃん、文句ねーじゃん!!
 「オレだって最高級黒部和牛(くろべわぎゅう)
    霜降り(しもふり)がいーもん!! 絶対!!」

 それは聞き捨てならんな
 ホラーキューピーの顔色が変わった。
 こんどは『黒部和牛霜降り』に反応したらしい。

 「オレは仲間を裏切る奴はゆるさんぞ……」
 ピエールがチャッとマグナムの銃口(じゅうこう)をブタ丸に向ける。
 「オバ〜〜〜」
 オバーQの触手(しょくしゅ)もブタ丸に向かってするりと伸びた。
 これはかなり怖い。

 「な、なんだよ君たち……ボク
 みんなの賞金、ひとりじめしたりするわけないじゃないかぁ♪
 バ、馬場ール! なーんてこといいだしやがる!!
  このバカ象!!

 ブタ丸の攻撃。
 「とんこつビーム!!」
 「ぎゃーっ!!」

 説明しよう。
 ブタ丸は自(みずか)らの体内の超高カロリー背脂(せあぶら)
 瞬時(しゅんじ)に燃焼(ねんしょう)させることで、
 超高温熱線(ちょうこうおんねっせん)ビームを目から発射できるのだ。
 これがとんこつビームだ。
 しかも発射後はあたりに豚骨スープのような香(こう)ばしい匂いが漂(ただよ)い出し、
 食欲増進(しょくよくぞうしん)効果もある
 ちょっとお得なビームである。

 馬場ールは真っ黒焦(こ)げになって倒れ込んだ。
 「みかけ倒しな象だ……つまらん」
 いやピエール、それだけブタ丸のビームの威力(いりょく)がものすごいのだ。
 口だけでの男ではないようだな、ブタ丸


 「てめーらよくもっ!」
 次はオレの番だな
 馬場ールの仲間達が襲(おそ)いかかってきた。
 見よ! 瞬殺(しゅんさつ)の天使拳!
 しかしホラーキューピーの神速(しんそく)の拳が走り、
 男達は何が起きたかも分からないまま次々に地に臥(ふ)していった。
 この男の強さも、ハンパじゃない!

 「よし、準備体操(たいそう)は終わりだ。
 ザコの相手はこれぐらいにして出発するぞ!」
 「おう!」

 お互いを認め合い、友情が芽生えたような
 錯覚(さつかく)の風が心地よく吹こうとしたそのとき、
 空を見上げながらヒョコヒョコ歩いていたエジモンが、
 馬場ールの体に蹴(け)つまずいて、スッころんだ。
 くるくるっと丸い目が踊(おど)る。

 「あれーブタ丸ー大変だー、こんなところで
 馬場ールがコゲてるよー。どうしたんだー?」
 ブタ丸はこけた。
こいつはこいつでホントにある意味すごい



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