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「ブタ丸トントン・ジュニア版」7ページ 「うわぁーーっ、すっげーっ!」 ブタ丸は目の前に広がる光景(こうけい)に、 思わずポカンと口を開けた。
高い岩山を登りきると、いきなり眼下(がんか)に 100メートル以上もある ダムのように巨大な扉 が現れたのだ。 扉は真新しく、 岸壁(がんぺき)と岸壁の 間に据(す)えられている。 表面にはゴシック風の 不気味なレリーフが 一面に彫られていた。 賞金の額といい この巨大な建造物といい、 どうやら大会のスポンサーの 財力はとんでもないものらしい。 扉の前には、 先に到着(とうちゃく)した いくつかのチームのメンバーがたむろしていた。 たくさんいたライバルチームが、 もう10チームぐらいに減っている。 遠くから何か爆発音と 悲鳴のようなものが聞こえてきた。 手をかざして見てみるが、 真っ暗で何が起きているかは分からなかった。 だがその悲鳴が 発動(はつどう)しはじめたトラップに掛かったチームの 断末魔(だんまつま)の声であることは、 アホなブタ丸にさえ容易に想像がついた。 「いくぞ、ブタ丸。そろそろタイムアップだ」 「あ、ああ……」 瓦礫(がれき)に足を取られて転ばないように気を配りながら、 5人は坂道を下り扉に向かって走る。 そのとき急に視線を感じ、ブタ丸は立ち止まった。 「なんかヤな感じだせ。 うなじのトン毛が逆立ってる…… 」 「どーしたのー、ブタ丸ー? まにあわなくなっちゃうよー」 「賞金パーにする気かブタ! 急げ!」 「うぉぉぉぉっ、そーだった!! 賞金、賞金!! 行くぜミラクルぶた走りっ!! とぉぉぉりゃぁぁぁっ」 「うわーブタ丸速いなー、待ってよー」 せっかくの野生の勘(かん)の警鐘(けいしょう)も、 残念ながら欲に目のくらんだブタ丸にはとどかなかったようだ。 ブタ丸が立ち止まった場所の空に、 小さなコウモリが飛んでいた。 いや、よく見ると それは本物のコウモリではなくロボットだった。 ぶざいくな血吸いコウモリを模(も)した顔面は、 目が一つ目(モノアイ)のレンズになっている。 ロボットコウモリは 島のあちこちをヒラヒラと飛び交(か)っていた。 そして映像をある男の場所へとどける。 男はブタ丸のトン毛をそそけ立たせた おぞましい邪気(じゃき)を豪華(ごうか)な室内に充満(じゅうまん)させながら、 映像を映す巨大モニターに見入っていた。 「ククククク……、 生き残りのしぶといゴキブリ共!!!! お前達はゴキブリらしく 共食いで消えてもらいましょう!! ……たっぷり楽しませてもらった後にネェ。 クククククククッ」 その男、 本大会のスポンサーは、 ブランディーグラスを手に闇の中で、 ひとりサディスト特有の、 残忍な忍び笑いをもらしていた。 門の奥から陰鬱(いんうつ)なサイレンが鳴り響き、 第一試合の終了を告げた。 地鳴りのように軋みながら巨大な門が開く。 「やっぱり他のチームは道に迷った末に……」 ブタ丸は険(けわ)しい表情で、 皆に続き門をくぐった。 脱落したチームの安否(あんぴ)が心配である。 そして、嬉(うれ)しげに門の中に駆け込んでいく 勝ち抜きチームのメンバー達の未来も同様に……。 「とりあえず、第一関門はクリアだ」 「うん! やったねブタ丸、みんな!」 五人はにこやかにハイタッチを交わす。 オバーQも頭を開け、触手(しょくしゅ)をブタ丸に向かって伸ばした。 しかしブタ丸は慎重(しんちょう)に後ろに下がり、 触手とのハイタッチを辞退(じたい)した。 でも気を悪くしておこっていたらちょびっと怖いので、 おあいそ笑いを浮かべながら おそるおそるオバーQの顔色をうかがう。 しかし、触手を手遊(てあそ)びのように うにうに絡(から)ませたりほどいたりしているオバーQの顔からは、 感情が何も読み取れなかった。 ひょっとしたら顔の部分は本当の顔ではなく、 実はただの擬態(ぎたい)なのかもしれない。 (こんなのに賞金分けるのイヤだな……) ブタ丸の心の中にダークブタ丸が、 ジャンガジャンガジャンガジャンガジャーン、と アンガールズの決めポーズをとりながら降臨(こうりん)した。 (よし、決めた! 友情ごっこは今だけだ。 スキをみつけてひとりじめをねらう!!) おいおいおい……。 とことん腐(くさ)れ外道(げどう)なブタである。 3 トーナメント篇(へん) 「あーそれにしてもうまい朝飯だったなー」 「夕ご飯もごーかだったしね」 「お前ら喰い過ぎだぞ、試合にひびいたらどうする」 「あんたもな」 「すまん、つい……」 ホラーキューピーのキューピーらしからぬ筋肉質なボディは、 食べ過ぎのためぽこんと出た 丸いお腹の幼児体形になりはてていた。 だがまあ責めるのは酷(こく)というものだ。 ブタ丸たちはいちおう庶民(しょみん)レベルの暮らしをしているが、 ホラーキューピーの生活は住んでいるボロ家からも想像できる通り、 清貧(せいひん)を極めている。 わかりやすく言えば、ようするにド貧乏ってことである。 たまにはおいしい物も、そりゃ食べたいよね。 とにかく宿泊施設で出された食事は、 見たこともない超豪華(ちょうごうか)なフルコースだったのだ。 まるでこれが最後の晩餐(ばんさん)だ、とでもいうかのように……。 ブタ丸たちは感激の涙を滝のように流しながら、 食事をむさぼり喰った。 しかしピエールだけは、武器のメンテがあるからと、 早々に部屋へ戻ってしまっていた。 食事をとらなかったので、タイツの下の素顔(すがお)は謎のままである。 まあ、たとえタイツを脱いでいたとしても、 食事に夢中のブタ丸たちは 気付きもしなかっただろうが。 食事のあとブタ丸たちは、 大会2回戦の試合会場に連れていかれた。 そこは島の南端(なんたん)の砂丘(さきゅう)の真ん中だった。 砂の上にブタ丸の背より頭一つほど高い 二つの将棋盤(しょうぎばん)のような舞台がつくられ、 中央が50メートル四方の 広い闘技場(とうぎじょう)になっていた。 右の闘技場の上には、昨日とは別の司会者が待っていた。 「みなさん、よくここまでやって来ました。私は司会者の……」 男は前の司会者にクローンのようによく似ていた。 だが、前の司会者は 頭が巻きグソのような形だったのに対し、この男は……。 「おー、チ○コだ!! 次の司会者はチ○コ野郎かっ!!」 「ギャハハハハハ!! チ○コだ、チ○コだ!!」
「おっす、チ○コ野郎、よろしくなー!」………下品でどうもすみません。 「では2回戦目のルールを説明します」 司会者の額にはでかいムカマークが浮かんでいる。 「ですが現在11チーム残ってしまったので、 ここで1チーム消えてもらいます。 じゃあ……ゴリラチームに 消えてもらいましょうか」 「なんだとー!! ふざけるなーっ!! いみわかんねーぞーっ!!」 「うるさいです。顔がきもいから消えてもらいます」 カチッ ドッコーーン 司会者が手に持ったリモコンのスイッチを押すと、 ゴリラチームの立っている床がいきなり爆発した。 「ぎゃあああああっ」
ゴリラチームは遥(はる)か海上まで吹き飛ばされ、キラリと光り見えなくなった。 いくらバカ丈夫なゴリラ達でも、 安否(あんぴ)が心配である……。 おもしろかったと思った人は押してね♪ (アルファポリス・ランキングポイントです) →
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